ベータグルカン小麦·米より7~50倍多く
最近健康に対する関心が高まるにつれ、新しく評価され始めた食品が麦だ。
麦には普通、食生活では不足しがちな様々なビタミン類、無機成分、必須アミノ酸が豊富に含まれている。 古代ギリシアの剣闘士たちは力と精力を得るために麦をたくさん食べたと伝えられている。 彼らは「ホルデアリ(hordeari)」と呼ばれていたが、麦の学名は「ホルデウムビガレ(Hordeum vulgare)」、と困窮しているとされている。
特に麦には便秘や肥満、成人病などを予防する食物繊維が多く含まれており、健康維持·増進に最も望ましい穀類として認められている。
米国食餌療法協会(American Dietic Association)では大人の場合、1日20~35gの食物繊維を摂取することを勧めているが、その食物繊維が最も多く含まれている食品の一つが麦だ。 麦には食物繊維が米の7.2倍、小麦の3.3倍も含まれており、人体にいろいろな面で有益な役割を果たしている。
特に代謝生理に重要な役割をする可溶性食物纎維がコメの7.4倍、小麦の3.7倍含まれている。 食物繊維は、大量に摂取すれば、冠動脈心臓疾患や結腸がん、糖尿病、虫垂炎(appendicitis)、蟹実疾患(diverticulardisease)の発病リスクを減らすことが、すでに疫学研究で明らかになっている。
コレステロール高血圧の改善、癌予防効果
一方、麦に多く含まれているベータグルカンはコレステロール値を下げ、心臓病を予防し脂肪蓄積を防止するのにも役立つ。 ベータグルカンは麦の細胞壁を成す物質として、穀物の中で麦に最も多く、コメの50倍小麦の7倍以上含まれている。
ベータグルカンのコレステロール低下の効果は、これまで多くの研究で明らかにされてきた。 ベータグルカンは腸内で大腸菌によって酪酸(butyricacid)のような低分子脂肪酸に分解され、肝臓でコレステロール合成を抑制するものと知られている。
カナダ·アルバータ農業研究所の研究チームは、麦を摂取すれば血中脂質に有効な影響を及ぼし、高血圧患者らの血圧も有意に改善されることが明らかになったと報告した。 3ヵ月間と6ヵ月間の試験で、男女ともに有用なコレステロールであるHDLコレステロールが増え、有害なコレステロールであるLDLコレステロールは減ったことが分かった。
また、男性高血圧患者の場合、拡張期血圧が6ヵ月試験期間に平均9%下がり、収縮期血圧も6ヵ月間で男性患者5%、女性患者3%下がった。
このようにアルバータ農業研究所研究チームの研究でも、麦が血糖値や血中脂質血圧を有意に改善することが分かった。
また、アメリカモンタナ州立大学研究チームもラットと鶏を使用した実験において麦が総コレステロール値とLDLコレステロール値を下げることを確認した。
麦に多く含まれているベータグルカンはまた、最近の研究で抗がん作用も持っていることが報告され、注目されている。 すなわち、ベータグルカンには人体の免疫システムを活性化させる作用があることが明らかになったのだ。 ディルジオなどの研究陣は1985年に動物実験でベータグルカンと化学構造が同じグルカンにガン細胞を阻害する効果があることが確認されたと報告している。
また、麦に含まれている不溶性食物繊維は、大腸がんの発病リスクを減らす。
この食物繊維は腸内で嫌気性細菌の繁殖を減らして毒性生成を減らし、食べ物を通じて摂取された脂肪酸コレステロール重金属ニトロソアミンのような発がん性物質を吸着して排泄させることで大腸癌発生を抑制する役割をする。 また、大麦の表面層にあるフェルラ酸も抗酸化作用のあるフェノール酸として抗がん作用を発揮するものと推測されている。
麦は世界で約6000年間活力と健康を与える食品として愛されてきた。 日本国立栄養研究所の研究陣は麦にスタミナを増進させ、ストレスに対する抵抗力を向上させる効果があることを動物実験で確認した。
研究者たちは、コメだけを食べさせたネズミと麦を混ぜて食べさせたネズミを回転させるベルトの上で走らせた結果、コメだけを食べさせたネズミは54分間680メートルを走ったのに対し、麦を一緒に食べさせたネズミは66分間825メートルを走り、持久力が優れていることを証明した。 また、ストレスを受けた場合、ネズミは一般的に腎臓が重くなり、腎臓内のビタミン消耗も多くなるが、麦を混ぜた飼料を食べさせたネズミは腎臓の重さの変化が少なく、ビタミンCも少なく消耗した。
●他の穀物と相性が良く、用途も様々
米モンタナ州立大学栄養研究所では、異常のような麦の効用を活かし、心臓病や糖尿病、高血圧やガンを予防できる機能性食品を、麦を使って開発している。
同研究所ではすでに大麦フレークとクランベリーなどの素材にカルシウムを強化した食品を試験的に製造したが、「ザ·クランツォ(The Cruncho)」という商品名のこの食品は、特に青年期に必要な栄養素の量が考慮されている。
また、糖尿病にかかりやすい人のために、麦で米国人がよく食べる油で揚げたパン(fry bread)を作った。 このパンは麦の食物繊維が脂肪結合性があるので、食べても脂肪吸収が多くなくなるという。
モンタナ州立大学栄養研究所の研究チームは今後、大麦から可溶性食物繊維を抽出し、カルシウムを強化した飲料に使用する計画だ。
麦は特に穀類と相性が良いため、混合して使うことが多い。
米国では最近、人気が高まっている様々な種類の穀物を混合使用した(multi-grain)クラッカーやパンの原料に麦が多く使われている。 そして糠層を取り除いた精麦はスープに多く使われる。 普通の静脈をスープの中で水和するのに30分ほどかかるが、料理すると本来の大きさの2~3倍に大きくなる。 しかし、層をさらに取り除いた静脈は受話時間が減る。
米ノースダコタ州立大学ではその間、約7年間、皮の薄いワキシ種(waxy hull-less)麦の用途について研究してきた。 ワキシ種麦は皮を剥きやすい上、ノースダコタ州立大学食品栄養学科のクリスティン·ファストナットによると、可溶性食物繊維が6-9%含まれており、2.5-5%含まれている他の麦より2倍以上含量が多い。
ファストナットと彼の同僚たちは各種のベイクド製品の他にもシリアルやスタック用の麦含有製品を開発した。 例えば、大麦粉や大麦フレーク25%と小麦粉を混ぜて作ったパンは膨張性に優れていた。 彼らは大麦を50%使用してブランマフィン(bran muffin)を作った。 これは油の使用量を減らしてもマフィンの膨張性が向上したものだとパストナーは言う。